電波の歴史〜5G時代の到来〜#14
参考文献
井上伸生著「電波と光のことが一冊でまるごとわかる」
明豊「FUJITSU journal 2017.12.21号」
6月になり、少しずつ生活も元の形に戻ってきている方も多いのではないでしょうか。人とのつながりがこんなに大切なのか、という実感を持つ良い期間だったのではと、個人的には振り返っています。
さて、自宅待機の期間にリモートワークをしていた方もたくさんいらっしゃると思います。以前から一部の優秀な経営者や、決まったオフィスに出社しないで仕事するノマドワーカー(nomad worker)という方はいましたが、ここまで大人数がリモートワークに取り組んだということはなかったはずです。
その際にほぼ100%の人間がお世話になったのが電波の存在です。そもそも電波とは何なのか。電気とも違うし、音とも当然違う、電波について調べてみました。
電波は、人類誕生以前から自然界に存在していました。恥ずかしながら、僕は人類の発明かと思っていました。
例えば、雷や摩擦電気の火花放電でも電波は発生します。また、太陽や宇宙空間からも、様々な周波数の電波が地球へ届いています。
しかしながら人類は電波の存在を知る前までは、電波を生活の中で利用することはできませんでした。
1888年にドイツの物理学者、ハインリッヒ・ヘルツが電磁波の存在を実験で証明しました。しかし発見当時はその価値を見出すことができず、何十年も前にマックスウェルのいう学者が発表した方程式の実証にすぎないと考えていたそうです。ヘルツは23歳で博士号を取得するほどの優秀な物理学者でしたから、もしかしたら「当時の技術力では電波の利用は難しい」と考えていたのかもしれません。
人類が電波を利用しはじめたのは、1895年にイタリアの発明家であるマルコーニが無線電信を成功させたのが最初です。当時は音声通話、いわゆる電話網がすでに発達していたため、無線での情報伝達はそこまで普及しませんでした。ここでお気づきになったかもしれませんが、携帯電話といわゆる固定電話は、伝達手段が全く違います。固定電話は電話線というものがある、いわゆる有線での通信手段です。電話と一括りにされますが、実は似て非なるものなのですね。
日本ではどうだったかというと、1925年にラジオ放送が、1953年にテレビ放送が、2003年には地上デジタルテレビ放送が開始され、電波は文化の発展に大きく貢献してきました。
一方、ポケットベルサービスや自動車電話サービスを経て、現代には欠かせない携帯電話サービスへと発展していきます。
アナログ形式の、いわゆる音声通話のみだった1G(第1世代)、メール添付ができるようになった2G、画像の送受信が可能になった3G、そして静止画だけでなく動画の配信、受信が可能になった4Gと、目覚ましい進化を遂げてきました。
そして現在、時代は5Gへ進化しようとしています。いや、もう既にすぐそこまでやってきています。5Gとは、「スマートフォン意外のものにアプリケーションを搭載する技術」といえます。自動車の自動運転技術や無人タクシー、はたまた遠隔での医療活動への利用など、僕が想像つかないようなことができるようになりそうです。無論スマートフォンも進化を遂げ、形を変え、現代では高い負荷のかかる長時間動画をわずか数秒でダウンロードできてしまうと言われています。
現在は、誰もが、いつでも簡単に電波を利用したシステムを使うことができるようになり、私たちの生活に欠かせないものになっています。個人的に以外に思ったのは、電波の利用ができるようになったのは、意外と歴史が浅いということです。まだまだ可能性を秘め、僕が想像もつかないような技術が開発されるのでしょうか。時代に取り残されないように、感度を高くしておきたいと思います。