論語①#21
参考文献
「論語」全20篇
加地伸行著「論語 増補版」
前回「論語と算盤」という渋沢栄一の著書を扱い、記事を書きました。
今回はそもそもの「論語」について記事を書いてみます。
「論語」は、古代中国の思想家、孔子の教えを弟子たちが書き留めたものです。実は孔子が書いたものではないんですね。
人の生きる道や考え方、道徳などを述べており、現在の大人子どもに限らずでも参考になることがたくさんあります。
多くの中学生が国語の授業で触れる「論語」
の世界、ここではその中からいくつか選んで現代語訳と解説をしていきます。
■学びて時にこれを習う、また説(うれ)しからずや
現代語訳:学んだ事柄を実践する機会を得られるというのは、なんと嬉しいことではないか
(補足)「時に」は「しかるべき時に」という意味です。「習う」は「学習する」という意味よりも「実践する」と考えた方がしっくりきます。
論語の一番初めの一節で、とても有名な言葉です。
■朋あり、遠方より来る、また楽しからずや
現代語訳:同じ師のもとで学んだ友人が遠方からやって来る、こんなうれしいことはない
■人知らずして慍(うら)みず、また君子(くんし)ならずや
現代語訳:人が自分のことを分かってくれないからと言って腹を立てないのが一人前だ
(補足)君子とは、人徳と品格を兼ね備えた人格者のことです。
論語ではたびたび、君子と一般人の違いについて説かれています。
■巧言令色(こうげんれいしょく)、少なし仁
現代語訳:言葉ばかり巧みで愛想のいい人に、誠実さがあることは少ない
(補足)言葉数が多いことを孔子はあまりよしと思っていないようです。「黙して語らず」というのが美徳とされたかつての日本人のルーツとなっていると考えられます。
■これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。
現代語訳:知っているだけの人は好む人に勝てない 好む人は楽しむ人に勝てない
(補足)物事を知っている人よりそのことを好きな人の方が上であり、好きな人より楽しんでいる人はさらに上であるという意味です。
物事を極めたければ、知るより好め、好むよりも楽しめ、とも受け取れます。いろんなことに応用がきく言葉ですね。
■速やかならんと欲することなかれ。小利を見ることなかれ
現代語訳:成果をあげようと焦らないこと。 目の前の小さな利益に捉われすぎないこと。
この言葉に続けて、早く成果をあげようとすると成功しないし、小さな利益に気をとられると大きな仕事は完成しない、という言葉が続きます。
■過(あやま)てば則(すなわ)ち改(あらた)むるにはばかることなかれ
現代語訳:失敗に気付いたら、ぐずぐずせずにすぐに直すこと
論語では人間が間違いを犯すことを認めています。間違うのは仕方ないから、そこからどうしたらいいのか?ということに重点を置いています。
少し長くなってしまいそうなので、今回はこのへんで終わりたいと思います。