偉人伝 ビル・キャンベル#30
参考文献「1兆ドルコーチ」
エリック・シュミット(Google元CEO)
ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル共著
Appleのスティーブ・ジョブズやGoogleのラリー・ペイジ、Amazonのジェフ・ベゾスら今の世界を牽引する多くの企業のコーチを務めたビル・キャンベル氏。いわゆるGAFAの師匠とも言うべき伝説の経営者です。元アメフトのコーチという異色の肩書きを持つ彼が、いかにしてシリコンバレーにある企業を大成功に導いたのか。とても興味を持ちました。
まず1番に感じたのは、自分に関わる人に愛情を持つこと。最先端の技術を駆使する企業というとどこか無機質な、個人主義な印象を持ちますが、ビルは全く違いました。とにかく積極的にその人に関わり、たくさん時間を共有することを大切にしていました。組織を作るのは、どこまでいっても結局人間なんだなと強く感じました。
そしてビルは、人を採用するにあたり以下の4つのことを大切にしました。
まずは「知性」。これは決して勉強ができるということではありません。異分野のものをつなげる能力、ビルはこれを「遠い類推」と呼んでいます。
そして「勤勉」であること。「誠実」であること。特に成長しない「勤勉」ではない人間を嫌いました。
最後に「グリット(やり抜く力)」を持っていること。打ちのめされても立ち上がり、再びトライする情熱と根気強さを持っているということです。
こうやって見ると、能力的な要素は最初の「知性」のみで、あとの3つは人間性をみているんですね。
ビルはこの4つの資質があると思える人には、ほかに多く欠点があったとしても黙認しました。それだけこの4つの要素を重視したということだということですね。
徹底的にチームファーストを主張し、「正しく勝つ」ことにこだわりました。そしてビジネスに愛を持ち込み、人に優しい組織になれとも繰り返したと言います。日本には「勝てば官軍」なんて言葉があり、周囲を見ても勝ちさえすれば評価される風潮がありますが、それでは真の成功は得られない。そして成功とは「人間的な価値」で決まると書いています。
この「1兆ドルコーチ」という言葉は、シリコンバレーでビルが産み出した価値に敬意を表してつけられた彼の異名ですが、実際のところ彼の携わった企業の資産価値は時価総額で2兆ドルを超えています。まさに伝説のコーチ、メンターですね。
人と接する時の姿勢、人を率いる時の心構えなど勉強になることがたくさんありました。僕がここ数年で1番影響を受けた偉人であることは間違いありません。この本を何回も読み返し、いろんなことを吸収したいと思います。