感染列島#7
2009年公開 瀬々敬久監督、脚本
日本映画
このページでは、読書や映画鑑賞を趣味にしている教室長が皆様にご紹介したい本や映画の紹介をしていきます。
10年前の映画が、こんなにも身近に感じるものなのかというリアリティで描かれていました。
数値や惨状には若干の誇張は感じるものの、今回の新型ウイルス騒動において類似点がたくさん見られました。
誤った情報を断定的に報道するジャーナリストたち。そしてそれを鵜呑みにし、正義の名のもとに平気で人を傷つける人々。我先にと必要な物資を買い込み、安全だと思われる場所へ逃げ惑う市民。どれもこれも10年後を予見していたのではないかというリアルな内容でした。
しかしこういう時にこそ発揮する、人間の凄さもこの映画は見せてくれます。己の生命をも省みず、最前線で闘い続ける医療従事者の姿や、(おそらく静止を振り切って来たのであろう)自らの危険を冒してまで愛する人のもとに駆けつける若者の姿などは、とても美しく僕の目には映りました。
そして最後に感染症対策の責任者が残した『もし明日地球が滅びるとも、今日きみはリンゴの木を植える』という言葉は宗教改革で有名な神学者マルティン・ルターの言葉の主語を変えたものになります。つい先日動画サイト内で作陽高校柔道部監督の川野先生もこの言葉を引用されていました。とてもよい言葉ですよね。
リンゴというのはキリスト教では禁断の果実(それを口にすることで人類は知恵をつけた)とされ、その木を植える(後世に遺す)ということは後世にその知恵を伝えていくということ。
つまり、いつ終わりが来ようとも、きみは今できることを精一杯やり遂げることでしょうという最大の賛辞ではないかと僕は受け取りました。
僕も今自分にできることを精一杯、そして作中に出てきた教授が語った"撃退するのではなく、ウイルスと共生する社会"という考え方を持って、この何が起こるかわからない社会に立ち向かっていきたいと思います。
『感染列島』プレビュー動画